« House to Abstract | トップページ | 1年振り返り »

報われない人生

運の悪い人の話を聞いた。
その人はお嫁さんをもらって家を建てた。
その後お嫁さんの親も一緒に住むようになった。
それからいろいろなことがあり、夫婦仲が悪くなって、その人は家に居場所がなくなってしまったそうだ。
自分が苦労して建てた家なのに。
妻は夫に冷たく接し、洗濯物も別にしていたと言う。
そんな母を見て育った二人の娘も同じように父に接した。
娘の嫁入りまでは、と彼は結局定年まで事務職を勤め上げた。
話だけ聞くとあまりに地味で、あまりに報われない人生だ。

どうしてかつては愛した人をまるで汚い物のように扱うのか。
僕にはよくわかる気がする。
うちの両親もそんな感じだった。
夫婦仲が悪くなるのはさまざまな理由が合わさってのことだろう。
まるで砂漠の穴にはまりこんだように、気づいた時にはもう抜け出すこともできずに、徐々に徐々に引きずりこまれていく、そんなものだと思う。
だから本人たちもどうしてこうなってしまったのか理由がわからない。
そもそも理由と呼べるものなんて存在すらしないのかもしれない。
それでも理由がないと人は自分の心を納得させられない。
だから自分で物語をつくる。
自分が負った傷の深さと同じだけ残酷な物語を。
妻は夫をとことんまで汚い存在に仕立てる。
そうして愛するものを嫌わなくてはいけない自分の心に決着をつける。

僕の両親はそういうことを繰り返してきたんだと思っている。
そう思うことで僕はかつての家族とかつての自分に決着をつけている。

先ほどの運が悪い人は、僕には父と重なって映る。
でも大丈夫。
成長して自分も親になった娘さんたちは、ちゃんとかつてのあなたも今のあなたも理解している。 

|

« House to Abstract | トップページ | 1年振り返り »

家族」カテゴリの記事

コメント

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)




トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.cocolog-nifty.com/t/trackback/209637/14624078

この記事へのトラックバック一覧です: 報われない人生:

« House to Abstract | トップページ | 1年振り返り »